月報2021年5月 【イエス・キリストの働き】
『イエスはガリラヤの全地を巡り歩いて、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、民の中のあらゆる病気、あらゆるわずらいをおいやしになった。』マタイによる福音書 4章 23節
♰ 説 教 「イエス・キリストの働き」
ここには、イエス・キリストが福音を宣べ伝えられたこと。そして癒しの業を行われたことが記されています。あらゆる病気、わずらいが癒されたということは、奇跡を行われたということです。イエス様は他にも様々な奇跡を行われました。水をワインに変え、嵐を止め、水の上を歩き、わずかな食物で何千人もの人を満腹にされたりしました。それは全て、イエス様がこの世のもの、自然の法則の下にある方ではなく、その上にある方である。自然を超えて、天地を自由に従わせ、支配される天地の主権者。全宇宙の真の王なる方であることの証しでした。すなわち、父なる神の御子であり、創造主なる神様であられることです。奇跡の御業の目的は、神の力が明かされ、天の権威によって福音を宣べ伝えるためでした。
その働きは、聖書の解き明かしにおいて行われました。おもに、律法に示された神の御心と意図を明らかにし、救い主の予言が成就したことの宣言です。聖霊を通して聖書を書かれた、作者である神ご自身による教えであることを知らしめるために、奇跡の業が行われました。そしてその教えは、最も正確な、少しの誤りも狂いも無い、真理の解き明かしです。主なる神が約束され、預言された、人類と全被造物の、究極の救い主がこの世に来た。それがイエス様である。救いの律法を全うすることは誰にもできない。
それ故、イエス様が神の御子・救い主であられることを信じて救われるように、という恵みの実現の宣言であり、自らの小羊を呼び集める、神の御国への招きであり、信じて従いなさいと言うご命令でした。
イエス様は、確かにあらゆる病を癒されましたが、多くの群衆が、ただ自分の体の癒しを求め、神の御国、真の救いを求めていない姿を認められると、群衆から離れ、山に登って弟子たちに教え始められました。それが5章から7章に記される山上の説教(垂訓)です。それは、やがてイエス様が去られた後、福音を宣べ伝える、教会の希望となり柱となる弟子を育てることでもあります。
ただ、イエス様にはもっと大切な仕事が待っていました。奇跡を起こし、御言を宣べ伝え、教える以上に大切な仕事。それは死と復活でした。十字架にかかって死に、黄泉から甦られることです。イエス様の死と肉体をもった復活が、その他の地上のお働きに実をもたらすものに外なりません。
さらに言えば、イエス様の死と復活もまた、イエス様がこの世に来られた目的ではなく、手段であります。それは、滅びに定められた、私たち罪人を救い、永遠の命に導く唯一の方法でした。
死から復活されたイエス様は、全世界への宣教と、み教えを守るご命令を下されます。そのために上からの力、助け手なる聖霊を遣わして下さるお約束をされ、天に昇られました。
そして今、イエス様は天の御座において、聖霊によって御言なる聖書を通して人々を救いへと導き、父なる神にとりなし、また天地を支配されています。私たちは、この究極の預言者、最終の祭司、真の王なるイエス様のお働きによって、贖われ、罪赦されたキリストの民とされ、教えられ、守られています。
この私たちに対する、イエス様の愛に満ちたお働きに感謝し、依り頼み、御名を讃美することができる幸いを覚えましょう。そして少しでも主のみ教えを守るべく、御霊に導いていただきながら御言に聞いて、歩んで参りたいと願っています。 (土井 浩 牧師)